統合失調症という症状を理解しないで
または判っていても、世間体が悪いから
または、精神科に行くのを本人が嫌がるから
治療を受けさせないで、放っておくとどうなるでしょうか?
今日読んだ本に、例がでていました。
明治12年、「地上」という本を書いて
ベストセラーになった島田清次郎、という人のことです。
彼は小さい時から、頭が良かったが
祖父が相場に失敗して生活が苦しくなり
商業学校を退学する。
その後、清次郎は働きながら制作をし
「地上」が世に出て、時代の寵児になる。
が、続けて書いた作品と、彼の傲慢な態度で文壇に嫌われます。
そして、砂木海軍少将令嬢を誘拐した件により、社会的に葬られる。
大正13年、血まみれになって歩いている彼を挙動不審、ということで
警察が逮捕する。
そのまま精神病院に入院、ということになったが
病院での彼は、誰とも口をきかず、部屋の隅にすわっていたという。
そして、時々、自分の着物を引き裂いたり、大声でわめいていた。
最後は糞尿垂れ流しの状態で、臭気がすごかったという。
これが治療をしなかった場合の、統合失調症、慢性期の症状だという。
島田清次郎は結核にかかり30歳で死んだ。
若くして発症した、統合失調症は、50代、60代になると寛解する、というが
それは、ちゃんと治療をした場合である。
若いときに発症して、何の治療もしないで、そのままおけば慢性期の症状となり
人間としての人格も失われてしまう。
統合失調症は、昔と違い、治療薬がある。早く治療を始め
自分に合った薬を見付けて、穏やかに寛解へとすすむのが理想であると思う。
島田清次郎の例は、明治時代、統合失調症の薬が、まだなかった時代のことである、