前回の記事で記載した、統合失調症発病とIQとの関係が少しわかりましたので
書いてみます。
俗説で統合失調症になる人は頭が良い、というのがあるようですが
これはアカデミー賞4部門を受賞した映画「ビューティフル・マインド」
の影響が大きいと思われます。
映画「ビューティフルマインド」ののモデルとなったジョン・ナッシュはノーベル経済学賞を共同受賞した実在の天才数学者ですが、統合失調症の患者で会ったことが知られています。
統合失調症の映画、といえば「ビューティフル・マインド」が結び付けられるようになるほど、この映画では天才数学者が統合失調症を患いながらも、研究者として成功をおさめる、ということで、統合失調症のイメージを変えました
American Journal of Psychiatry誌に掲載された研究では、1951年から1975年に生まれた120万人以上のスウェーデン人男性の、18歳から20歳の時のIQテストの結果と、その後2010年までの間の統合失調症による入院歴を分析しました。その結果、IQが1ポイント下がるごとに統合失調症発症率は3.8%高くなり、特に兄弟やいとこと比べIQが低い男性でリスクが高かったとのこと。また、遺伝的に統合失調症リスクが高いグループでもIQが低いほど統合失調症発症率は高かったそうです。論文の筆頭著者でバージニア・コモンウェルス大学医学部の精神科のKenneth S. Kendler教授によると、親族のIQから予測されるIQと比べ低い場合、統合失調症のリスクが高いとのことで、「遺伝的因子や家庭環境から予測されるIQに達していない人々で、統合失調症のリスクは最も高いようです」とKendler教授は語っています。
ということで、同じ状況であるならば、IQの高い人の方が統合失調症にかかりにくいようです。
IQが高いと統合失調症にかからない
というわけではなく、IQが高くても統合失調症にはかかります。
ただ、その割合がIQの低い人よりは少ない、ということのようです。:
当然のことですが、統合失調症にかかる人が、IQが低い人ばかり、
といいうことはありません。
統合失調症にかかっても、薬や治療を続けながら、ちゃんと仕事をしている方もいますし、研究者も、画家も、小説家もいます。